最近起きた歯科治療における重篤な事故
- 3) 2010.1.19 愛知・豊橋の歯科クリニックでインプラント使い回しの疑い
愛知県の豊橋市歯科医師会は、19日、厚生労働省で記者会見し、同市内の歯科クリニックが治療を失敗して抜けたインプラントを他の患者に使い回す不正治療を行っていたとして、刑事告発や民事訴訟の検討を発表した。同クリニック勤務の歯科助手が昨年11月、院内に保管されていたインプラントを同医師会に持ち込み、専門家に鑑定を依頼したところ、ヒトの組織が付着していることが確認されたという。厚労省によると、インプラントの使い回しは、医療器具等の適正な使用を医療関係者に義務づける医療法違反にあたる可能性があるという。
- 2) 2007.7.14 インプラント手術中に出血が止まらず、70歳女性が死亡
東京都中央区八重洲の歯科医院で5月、インプラント手術を受けた都内在住の会社員の女性が、手術中に出血し死亡したことが13日、分かった。警視庁中央署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖するなど捜査を始めた。調べでは、女性は5月22日、男性院長からインプラント手術を受けている最中に出血が止まらなくなり容体が急変。すぐに別の病院に運ばれたが、特別な手当てもなく帰宅。その後再び内出血をきたし、気道圧迫により翌23日に死亡した。警視庁は出血と死亡との因果関係を調べるとともに、手術に問題がなかったかなど、事情を聴いている。
- 1) 2006.2.28 インプラント治療で、歯槽骨内にネジを残留した歯科医院に賠償命令
インプラント手術で、歯槽骨内に誤ってネジが残された為、治療部分に激痛が続いたとして、大分市内の女性が同市内の歯科医院に損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁は27日、歯科医院に慰謝料など約400万円を支払うよう命じた。判決によると、女性は、インプラント治療を同医院で受けたが、治療部分に激痛を感じるようになったため、同医院でインプラントを外した。しかし、痛みが治まらなかった為、別の病院で再手術をした際に、歯槽骨の中にネジが残されていたことが判明した。
3).の事例は、患者に埋めたインプラントが骨に定着せずに抜けた際、滅菌して保管し、他の患者に使い回していた疑いがあるというもの。2).の事例は、インプラント手術の最中に、動脈を傷つけ出血が止まらなくなり別の病院に搬送されたが、帰宅後に内出血が気道圧迫をもたらして、翌日に死亡したというもの。1).の事例は、固定ネジを歯槽骨内に入れたまま、誤ってインプラントを埋め込んだというもの。
この3件の事例においては、何れも医師の技術や信頼性、診断設備、手術環境の重要性が露呈されたのではないでしょうか(2,3については、医師の過失が確認された訳ではない)。また、一般の方には、難しい判断になりますが、材料の質や技工技術、学会組織への参加による技術的サポートがある医院であるか等も、歯科医院選択の基準になるでしょう。
歯科治療における医療訴訟
2008年度の医療訴訟総数は986件、そのうち歯科における医療訴訟は全体の7.1%(70件)であり、年間1億3千万を超える歯科の治療件数から換算すると、歯科治療における医療訴訟になる確率は190万分の1であり、そしてその内54%は取り下げまたは和解になっています。
ちなみに、一生のうち交通事故に遭遇して死亡する確率が163万分の1、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は11万分の1であることから、歯科治療における医療訴訟の発生頻度は極めて低いと言えます。
















